⚖️ 法的事実:ニキビ痕の治療法選択は医師の業務(医師法第17条)。本教材は医学的知識を整理した一般情報。
⚡ 30秒早見
ニキビ痕クレーターは4タイプ:アイスピック / ローリング / ボックスカー / 萎縮性斑状。形状で治療が全く違う。1つのレーザーで全部消すことはできない。レディアンの主力サブシジョンはローリング型(皮下癒着)の絶対的治療。ヒアルロン酸充填併用で再癒着防止。
💡 ひとことで言うと
ニキビ痕は「肌の奥(真皮)が大ヤケドを負って、修復のときにできた凹み」。凹みの形で治療が完全に別物になる:
・アイスピック型(細く深い穴)→ TCA-CROSSで底から埋める
・ローリング型(丸くゆるい凹み)→ サブシジョンで皮下のゴム紐を切る
・ボックスカー型(四角い凹み)→ フラクショナルで表面をなだらかに
・萎縮性(浅く広い)→ ダーマペン等でコラーゲン増生
1つの治療で全部消すのは無理。組み合わせが基本。カウンセラーは「治療の使い分け」を理解して伝える。
📖 用語メモ
- アイスピック型(Icepick scar) = 「氷を割るキリ」の形の、フチ狭く深い穴(直径2mm以下)
- ローリング型(Rolling scar) = 丸くて緩やかな凹み(直径4mm以上)。皮下の癒着線維が表面を引き込んでいる
- ボックスカー型(Boxcar scar) = 四角い箱型、フチが垂直に切り立って底が平ら
- 萎縮性斑状瘢痕 = 浅くて広い凹み、皮膚が薄く萎縮
- tethered scars = 「引き込みのある瘢痕」。指で肌を引っ張ると凹みが消えるタイプ = サブシジョンの適応
- サブシジョン(Subcision)= 皮下の癒着線維を鈍針カニューレで物理的に切離する治療(Orentreich 1995)
- fibrous tethers = 皮下の「硬いゴム紐」。ローリング型クレーターの根本原因
- 再癒着 = 切離した組織が数日〜2週間で再結合し、凹みが戻る現象 → HA充填で防ぐ
🎯 4タイプ分類
🧊 アイスピック型
開口径 ≤2mm / 皮下組織まで達する深い穴
→ TCA-CROSS
⭕ ローリング型
直径 ≥4mm / 皮下癒着が引き込む
→ サブシジョン(レディアン主力)
📦 ボックスカー型
エッジが垂直・底が平坦・四角い
→ フラクショナル / RF
🌫️ 萎縮性斑状
浅く広い、皮膚が薄く萎縮
→ ダーマペン / RF
⭐ サブシジョン:レディアン主力メニュー
サブシジョン(Subcision)の原理
1995年 Orentreich らによって提唱された「Subcutaneous incisionless surgery」。
皮膚表面を一切傷つけず、真皮深層と皮下組織の間に形成された硬い線維性癒着(引き込みバンド)を、鈍針カニューレで物理的に切り離す治療。ローリング型クレーターの絶対的第一選択。
サブシジョンのメカニズム(3ステップ)
[Step 1] ローリング型クレーターの構造
皮膚表面 ━━━━\ /━━━━
\__/ ← 凹み
│ │ ← 皮下の硬い線維組織(癒着)が
│ │ 表面を引き下げている
真皮・皮下層 ━━━━┯━━┯━━━━
↓ 鈍針カニューレを横から挿入して往復運動
[Step 2] 癒着線維の物理的切離(サブシジョン)
皮膚表面 ━━━━━──━━━━━ ← 引き込みが解除、皮膚が浮き上がる
( 穴 )
✕ ← 切断された線維
※そのまま治すと2週間以内に再癒着
真皮・皮下層 ━━━━┷━━┯━━━━
↓ 空いた隙間にヒアルロン酸を注入
[Step 3] ヒアルロン酸充填で再癒着防止
皮膚表面 ━━━━━──━━━━━ ← 本来の平らな高さをキープ
[ HA ] ← 物理的クッションで再結合を完全ブロック
真皮・皮下層 ━━━━┷━━┷━━━━
手技のポイント
- 鈍針カニューレ使用(従来のNokor針より安全):血管・神経損傷リスク低減、Asian face の顔面解剖に適合
- 1箇所から扇状(ファンニング)に挿入:広範囲を1回で処理
- ヒアルロン酸即座充填:「デッドスペース」に物理的クッション → 2週間の再癒着リスクを完全ブロック
- 単独 vs 併用の判断はドクター
単独 vs 併用の使い分け
| 適応 | 治療パターン |
| 皮下引き込みのみ、表面凸凹なし | サブシジョン単独 |
| 皮下引き込み + 表面凸凹あり(ほとんどの症例) | サブシジョン + ダーマペン/フラクショナル/TCA-CROSS の同日 or 段階的併用 (ゴールデンプロトコル) |
『Baumann's Cosmetic Dermatology』Chapter 24, 27
💊 クレーター治療の使い分け表
| 治療 | ターゲット層 | 得意な凹み | Asian skin 注意点 |
| サブシジョン | 皮下組織〜真皮深層の結合組織 | ローリング型 | 穿刺部PIH注意、遮光徹底 |
| フラクショナルレーザー | 表皮〜真皮中層 | ボックスカー型、毛穴 | アブレイティブ(CO2)はPIH必発 → ノンアブレイティブ(Er:Glass 1550nm)推奨 |
| ダーマペン | 表皮〜真皮浅層〜中層 | 浅いボックスカー、萎縮性 | 針深度をアジア人向けに調整 |
| TCA-CROSS | 表皮基底層〜真皮全層(点) | アイスピック型 | 周囲皮膚に漏れると重篤PIH、精密手技必要 |
| マイクロニードルRF | 真皮のみ | ボックスカー、毛穴 | 表皮を守るためPIHリスク低い |
| Punch excision | 表皮〜皮下全層 | 難治性アイスピック | 縫合創が赤く盛り上がりやすい |
🏥 レディアン院内対応マップ(3層フロー)
第一選択(教科書エビデンス)→ 院内で対応可か → 対応不可なら院内代替 or 他院紹介、の3層で正直に示す。
| 症状 / 病型 | 第一選択 | 院内可否 | 院内対応 or 代替/他院紹介 |
| 深いローリング型 | サブシジョン(Q&A本Q26, Baumann Ch27) | ✅ 対応可 | サブシジョン。⭐イソトレチノイン内服中/終了後6ヶ月は絶対禁忌 |
| 浅い凹み・肌質 | フラクショナルCO2レーザー/針RF | △ CO2レーザー未搭載 / 針RFは可 | ポテンツァ/ダーマペン/トライフィルプロ(CO2注入・別物)で代替 |
| 赤み・色素沈着型 | 外用+ピーリング | ✅ 対応可 | ブラックピール/ジャルプロ+外用 |
⭐ カウンセラーへの重要指示
- 院内メニューを埋めるために効果の弱い治療を勧めない。第一選択を必ず先に伝える
- 院内未搭載の第一選択治療は正直に「院内では対応困難、他院ご案内も選択肢」と伝える
- フラクショナルCO2レーザーは院内未搭載。針RF(ポテンツァ)/ダーマペン等で代替する。治療の適否はドクター判断
📷 治療症例
ノンアブレイティブフラクショナルレーザー
ダーマペン(マイクロニードリング)
マイクロニードルRF(Asian skin)
出典:『Aesthetic Plastic Surgery of the East Asian Face』Chapter 26
📅 治療経過
| 回数 | 3〜5回以上(1回で完結しない) |
| 間隔 | 1〜2ヶ月(コラーゲン再生を待つ) |
| ダウンタイム | サブシジョン:穿刺部の内出血・軽度腫れ 1〜2週間 / フラクショナル:赤み・微細かさぶた 1週間前後 |
| 効果実感 | 3ヶ月〜半年(コラーゲン増生でボトムアップ) |
🚨 サブシジョン絶対禁忌(★最重要)
⭐ カウンセリング時に必ず確認する項目
- ⭐ イソトレチノイン内服中、または内服終了後6ヶ月以内 = 絶対禁忌
- 該当薬:アクネトレント、アキュテイン、ロアキュタン等(重症ニキビ用内服薬)
- コラーゲン生成障害・瘢痕形成異常のリスク → 施術延期
- 問診で「重症ニキビの内服治療歴・時期」を必ず確認
- 妊娠中・授乳中、妊娠の可能性:施術延期
- ケロイド体質:瘢痕悪化リスク
- 重度の血液疾患・出血性疾患(血友病等)
- 施術部位の活動性皮膚感染症・重度炎症(活動性ニキビ広範囲時は炎症鎮火が先)
- 局所麻酔薬(リドカイン等)アレルギー
- 重度糖尿病・自己免疫疾患(膠原病等)
- ヒアルロン酸アレルギー:サブシジョン+HA併用不可
- 抗凝固薬内服中:内出血リスク↑、要ドクター判断
- コントロール不良の高血圧・心疾患
- 精神的不安定・非現実的期待:カウンセリング段階で丁寧にすり合わせ
- アブレイティブフラクショナル(CO2):Asian skinでPIH多発 → ノンアブレイティブ推奨
出典:レディアン院内資料 15_サブシジョン
📋 サブシジョン術後スケジュール(患者説明用)
| 時期 | OK | NG |
| 術直後 | 圧迫+冷却で出血・腫れ予防 | - |
| 術後6時間まで | - | 洗顔・スキンケア不可 |
| 術後6-24時間 | 洗顔OK、シャワーOK | メイク・湯船・飲酒・運動・運転NG |
| 術後24時間〜 | メイクOK、湯船OK | 激しい運動は数日避 |
| 術後2-3日 | - | 腫れピーク、冷却継続 |
| 術後1-2週間 | - | 内出血が青→黄色→自然消失 |
| 術後数週〜数ヶ月 | - | 硬結(正常サイン)が徐々に馴染む |
💬 患者への標準トーク
「内出血はほぼ必ず起こる正常な経過です。1〜2週間で紫→黄色へと変化しながら自然に消えていきます。腫れは2〜3日がピーク、1週間程度で徐々に軽減します。硬いしこりのような感覚が数週間残ることがありますが、これはコラーゲンが生成されているサインで、数週〜数ヶ月で自然に馴染みます」
出典:レディアン院内資料 15_サブシジョン
⚠️ 合併症時の対応窓口
予期せぬ強い赤み・腫れ・ひりつき・アレルギー反応が続く場合:
クリニック代表電話 050-8889-3863で相談案内。
※ 特定の夜間ホットライン・合併症専用窓口の設定なし。
📚 出典
- 『美容皮膚Q&A』Q26, Q39
- 『Baumann's Cosmetic Dermatology』Chapter 24, 27(サブシジョン詳細)
- 『Plastic Surgery Vol 2』Chapter 8.4(フラクショナル)
- 『Aesthetic Plastic Surgery of the East Asian Face』Chapter 26(MFRF)
- レディアン院内資料 15_サブシジョン / 15_ポテンツァ / 16_ダーマペン / 21_ピーリング