レーザーは単一波長・位相のそろった光を、標的発色団の吸収スペクトルに合わせて照射する。選択的光熱融解理論(Anderson & Parrish の概念として教科書に整理される)に基づき、パルス幅を標的の熱緩和時間(thermal relaxation time:熱が標的外へ拡散するまでの時間)より短く設定することで、標的にのみ熱損傷を局在させ周囲組織を温存する。ナノ秒〜ピコ秒領域の短パルスでは、熱に加えて光音響(衝撃波様)効果が優位になり、色素の微細破砕が起こる(Q36・Q37参照)。血管系ではヘモグロビンの吸収ピーク(418/542/577nm付近、長波長側では1064nmにもなだらかな吸収)を利用し、血管内皮の選択的凝固を狙う(Q38参照)。
| 系統 | 標的発色団 | 代表機種・波長 | パルス幅の傾向 | 主適応 |
|---|---|---|---|---|
| 色素系(Qスイッチ) | メラニン | ルビー694nm/アレキサンドライト755nm/Nd:YAG 532・1064nm | ナノ秒(光熱優位) | 日光黒子・ADM・太田母斑・タトゥー・肝斑トーニング(古典的) |
| 色素系(ピコ秒) | メラニン | 各社ピコ秒機(532/755/1064nm等) | ピコ秒(光音響優位) | 同上。PIH・ダウンタイム低減志向 |
| 血管系 | ヘモグロビン | PDL(色素レーザー)595nm/Long pulse Nd:YAG 1064nm | ミリ秒(血管径に合わせた選択的凝固) | 赤ら顔・毛細血管拡張・単純性血管腫・苺状血管腫 |
| 組織・水分系(アブレイティブ/フラクショナル) | 水分 | 炭酸ガス(CO2)10600nm/Er:YAG 2940nm | マイクロ秒〜ミリ秒 | 瘢痕(ニキビ痕)・小じわ・良性腫瘍(ほくろ/イボ)の外科的除去 |
| 脱毛系 | 毛包メラニン | アレキサンドライト755nm/ダイオード810nm/Nd:YAG 1064nm | ミリ秒(毛包熱緩和時間に合わせる) | 医療脱毛。皮膚色・毛質で機種選択 |
IPL(Intense Pulsed Light)はコヒーレント(位相のそろった単一波長)光ではなく、フィルタで波長帯を選択した非コヒーレント・広帯域光である。複数の発色団に同時に浅く作用させるため、単回のエネルギー密度はレーザーより低く、複数回の照射で累積効果を狙う設計になりやすい。院内のフォトフェイシャル ステラM22はVascula/Acne等のフィルタで血管・色素・肌質に対応するが、血管系の切れ味(選択的凝固の強さ)はPDLに劣るため、はっきりした毛細血管拡張・単純性血管腫の第一選択にはならない(詳細はQ38・Q41参照)。
| 系統・相談 | 第一選択(出典付き) | 院内可否 | 院内対応 or 代替・紹介 |
|---|---|---|---|
| 色素系(シミ・あざ・タトゥー) | Qスイッチ/ピコ秒(原典Q3・Q36/37) | ✅ ピコで対応可 | ピコスポット/ピコトーニング。Qスイッチルビー(694nm)は導入予定(機器購入済) |
| 血管系(赤ら顔・毛細血管拡張) | PDL/Vビーム 595nm(原典Q23・Q38) | ❌ 未搭載 | 全顔マイルドはIPL(Vasculaフィルタ)で代替。明瞭な血管拡張・単純性血管腫は他院紹介(血管レーザー搭載施設/保険皮膚科) |
| 肌質・フラクショナル | フラクショナルCO2/Er:YAG(原典Q26・Q39) | △ レーザー機自体は未搭載 | 針RF(ポテンツァ等)・ピコフラクショナルで代替 |
| ほくろ・イボ除去 | 炭酸ガス(CO2)レーザー等(原典Q30・Q31・Q40) | ⭐ 要ドクター確認(除去手段がCO2レーザーか電気メスか資料上不明) | ほくろ・いぼ除去メニューあり。悪性疑いは焼灼せず生検優先 |
| 医療脱毛 | アレキ/ダイオード/Nd:YAG(原典Q28) | ✅ 2026年7月導入予定(ジェントルマックスプロプラス) | 導入後院内対応予定。運用は⭐ドクター最終確認 |
Q36 Qスイッチレーザー / Q37 ピコ秒レーザー / Q38 色素レーザー / Q39 フラクショナルレーザー / Q40 炭酸ガスレーザー / Q41 IPL