どの治療メニューも、シミに対して以下の3つのうちどれかの働きをしている。これを理解すると患者に「なぜこの治療か」を説明できる。
メラノサイトの過活動を抑え、メラニンが作られにくくする
すでにできたメラニン色素を、選択的に破壊・除去する
表皮のターンオーバーを促進し、メラニンを皮膚外に押し出す
💡 ひとことで言うと(メラニン工場の例え)
肌の中に「メラニン工場(メラノサイト)」がある。シミ治療は3種類の方針:
① 工場を止める(外用・内服)= 生産量を減らす
② できあがった在庫を焼き払う(レーザー・光)= 選択的にメラニンだけを狙って壊す
③ 倉庫の中身を外に押し出す(ピーリング)= 皮膚のターンオーバーを速めてメラニンをはがす
組み合わせて使うのが基本。「1つで完結」より「複数で総攻撃」の方が効くのはこのため。
📖 用語メモ
どの治療カテゴリが、どのシミタイプに効くか。詳しい使い分けと院内メニューは各疾患Qへ。
| カテゴリ | 日光黒子 | 雀卵斑 | 肝斑 | ADM | PIH |
|---|---|---|---|---|---|
| 外用 ハイドロキノン等 |
補助 | 補助 | 第一選択 | 無効 | 第一選択 |
| 内服 トラネキサム酸等 |
補助 | 補助 | 第一選択 | 補助 | 第一選択 |
| レーザー Qスイッチ/ピコ秒 |
第一選択 (単発・濃) |
第一選択 (個別) |
補助・慎重 | 第一選択 | 禁忌 (悪化) |
| 光治療 IPL(ステラM22) |
第一選択 (多発・薄) |
第一選択 (広範囲) |
悪化リスク | 無効 | 補助 |
| ピーリング ケミカル系 |
補助 | — | 第二選択 | 無効 | 第二選択 |
| 注入・ホームケア 肌育注射等 |
補助 | 補助 | 補助 | — | 補助 |
出典:『美容皮膚Q&A』Q2 / 『Baumann』Ch20, 41 / 『East Asian Face』Ch26 / レディアン院内資料
図1: シミの疾患別治療法フロー(出典:『美容皮膚Q&A』Q2 図1)
レーザー・光治療の波長選択は、この3発色団(メラニン・ヘモグロビン・水)の吸収特性が根拠。
Figure 26-1: 水・ヘモグロビン・メラニンの吸収スペクトル
出典:『Baumann's Cosmetic Dermatology』Chapter 26 Figure 26-1
波長・パルス幅・適応疾患の対応表。カウンセラーが機器名を耳にした時に「どの波長で何に効くか」を素早く参照できる。
Table 26-1: 血管系レーザー・IPL の波長とデバイス一覧
出典:『Baumann's Cosmetic Dermatology』Chapter 26 Table 26-1
本章はシミ治療の概論。症状別の第一選択・院内可否・院内代替/他院紹介は、各疾患Qの「🏥 レディアン院内対応マップ(3層フロー)」を参照する(Q3 日光黒子 / Q4 雀卵斑 / Q5 肝斑 / Q6 PIH / Q7 くすみ・くま / Q14 ADM)。