フラクショナルレーザーは、ビームをレンズアレイで無数の点(マイクロサーマルゾーン)に分割して照射する技術です。照射点の周囲に健常な皮膚を残すため、フルコート(面全体)照射に比べて治りが早く、複数回に分けて肌全体を底上げしていく考え方で使われます。アブレイティブ型(CO2・Er:YAGなど)は組織を蒸散させるため効果は強いですが、その分ダウンタイム・PIHリスクも高め。ノンアブレイティブ型(Er:Glass 1550nmなど)は組織を蒸散させず熱変性のみでコラーゲン再生を促すため、ダウンタイムが短くAsian skin(色黒肌)でも比較的選ばれやすいとされています。
★ 同じノンアブレイティブでも、波長で狙う層が違う — 1,550nm と 1,927nm
ノンアブレイティブのフラクショナルには、深さの違う2つの波長があります。どちらも「水」を狙いますが、水への吸収の強さが違うため、届く深さが変わります。
| 波長 | 水への吸収 | 届く深さ | 向いている悩み |
|---|---|---|---|
| 1,550nm Er:Glass | 中 | 真皮まで | ニキビ痕・シワ・瘢痕(→ Q26) |
| 1,927nm ツリウム | 高い | 表皮〜DEJで止まる | 色素・くすみ・肝斑 |
1,927nm(ツリウム)は「浅い」ことが武器です。教科書は、メラニンが集中する表皮真皮接合部(DEJ)を精密に狙えるため、アジア人の肝斑やくすみをPIHリスク低く治療できるとしています。
肝斑は真皮に熱を入れると悪化しますが(→ Q5)、1,927nmは真皮に届かないため、その悪化を避けられるという理屈です。
※ 1,927nm搭載機器は院内にはありません。他院の話として出てきたときのための知識です。
| 方式 | エネルギー | 得意なこと | 院内 |
|---|---|---|---|
| フラクショナルレーザー(アブレイティブ/ノンアブレイティブ) | 光(レーザー) | ボックスカー型ニキビ痕・毛穴・小じわ・肌質全般 | ❌ 実機なし |
| ピコフラクショナル | ピコ秒レーザー(光音響) | 肌質・毛穴・ニキビ痕・小じわ(ダウンタイム軽め) | ❌ 院内未搭載(確定)。針RF(ポテンツァ/エリシスセンス)で代替 |
| 針RF(マイクロニードルRF) | マイクロ針+高周波 | 毛穴・ニキビ跡・肌のハリ・肝斑・赤み | ✅ ポテンツァ/エリシスセンス搭載 |
| マイクロニードリング(RFなし) | マイクロ針のみ | ニキビ跡・シワ・たるみ | ✅ ダーマペン4搭載 |
「フラクショナル」という言葉はレーザーだけでなく針RFにも使われることがあり、患者さんが混同しやすいポイントです。「レーザー」か「針+高周波」かで機器が違うことを整理して伝えると誤解を防げます。
| 相談 | 第一選択(出典付き) | 院内可否 | 院内対応 or 代替・紹介 |
|---|---|---|---|
| ニキビ痕(浅い凹み・ボックスカー型)・毛穴・肌質 | フラクショナルレーザー(アブレイティブ/ノンアブレイティブ) 原典Q26・Q39 |
❌ フラクショナルレーザー未搭載 | 針RF(ポテンツァ/エリシスセンス)またはダーマペン4で代替。第一選択が院内にない事実は正直に伝える |
| ニキビ痕(深いローリング型) | サブシジョン 原典Q26 |
✅ 対応可 | サブシジョン(詳細はQ26)。⭐イソトレチノイン内服中/終了後6ヶ月は絶対禁忌 |
| 小じわ・肌質全般 | フラクショナルレーザーまたは外用レチノイド 原典Q17・Q39 |
△ フラクショナルレーザー未搭載/外用は対応可 | トレチノイン外用+針RF(ポテンツァ)。ピーリング(ミラノリピール等)も選択肢 |
・「ニキビ痕や毛穴の凹凸には、フラクショナルレーザーという肌を点状に刺激して再生を促す治療があります。当院にはレーザー本体はありませんが、同じように肌の再生を促す針RF(ポテンツァ・エリシスセンス)という機器でご対応できます」
・「痕の形によって向く治療が変わります。深く丸い凹みには別の治療(サブシジョン)が向くこともあるので、医師が診察して組み合わせを判断します」
・「小じわ・肌質のご相談は、塗り薬(トレチノイン)と針RFを組み合わせてご案内することが多いです」
| フラクショナルレーザーは院内にありますか? | レーザー本体は院内にありません。同じ目的(肌の再生促進)で針RF(ポテンツァ・エリシスセンス)をご案内しています |
| 針RFとレーザーは効果が同じ? | アプローチ(光か、針+高周波か)が異なるため単純比較はできません。ご相談内容に合わせて医師が向き不向きを判断します |
| 何回くらいで変化を感じますか? | 肌の生まれ変わりを待つ治療のため、複数回・数ヶ月単位が一般的です。回数の目安は医師が診て説明します |
Q35 レーザーとは / Q37 ピコ秒レーザー / Q26 ニキビ痕 / Q17 シワ治療