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Q57 / カウンセラー教材 v2 院内メニュー編・肌育注射(スキンブースター)

肌育注射(スキンブースター)とは、どんな治療ですか?

レディアンクリニック / 2026年8月8日 — 製剤9種類。違いを説明できることがカウンセラーの価値になる章

⚖️ 法的事実:どの製剤が適応かの判断・注入の可否は医師の業務(医師法第17条)。本教材は製剤知識の整理。カウンセラーが「あなたにはジュベルックが合います」と決めるのはNG。「こういう違いがあります」まで説明し、選択は医師に渡す。

⚡ 30秒早見

肌育注射(スキンブースター)=「膨らませる」のではなく「肌の質そのものを変える」注入治療。ヒアルロン酸フィラーが形を作るのに対し、肌育注射は真皮に材料や刺激を入れて、肌が自分でコラーゲンを作るのを助ける
当院は9種類の製剤を扱い、手打ち/ダーマシャインプロ(水光注射)/機器導入(ポテンツァ等)の3ルートがある。
違いは「成分が何をするか」で決まる。ここを説明できるかどうかが、提案の質を分ける。

📖 教科書は、この治療をどう定義しているか

「肌育注射」は院内メニュー上の呼び名です。教科書に載っているのは、この考え方そのものです。

『Baumann's Cosmetic Dermatology, 3rd edition』Chapter 30: Skin Tightening, p.419

"Collagen stimulating soft-tissue injectables, such as polylactic acid (PLLA) and calcium hydroxylapatite (CaHA) can be diluted or hyper-diluted to induce neocollagenesis and improve skin laxity without a volumization effect."

(コラーゲン刺激性の軟組織注入剤 — ポリ乳酸[PLLA]やカルシウムハイドロキシアパタイト[CaHA] — は、ボリュームアップ効果を伴わずにコラーゲン新生を誘発し、皮膚のたるみを改善するために、希釈または超希釈して使用できる。)

💡 ここが理解の核心

「膨らませずに、コラーゲンを作らせる」 — この一文が、肌育注射という治療の定義そのものです。
ヒアルロン酸フィラー(Q44)は入れた物そのものが形を作る。肌育注射は入れた物が肌に働きかけて、肌自身にコラーゲンを作らせる
だから「入れた直後がゴールではない」。ここを最初に共有できるかどうかで、満足度が決まります。

💉 どの深さに入れるか

顔面の層構造と注入の深さ

❶ 真皮の浅い層=スキンバイブ・水光注射 / ❷❸ 真皮中〜深層=ジュベルック・リジュラン・プルリアルデンシファイ
肌育注射はすべて真皮内で完結し、SMASより深くは入りません。SMASを狙うのはHIFUなどの機器(→ Q20
乳頭層と網状層の厚さの比率は解剖学的な実際の比率に合わせています(乳頭層は真皮の上部のごく薄い層)。
オリジナル作図・教科書の記載に基づく模式図

顔は「5つの層」でできている

『Plastic Surgery Volume 2: Aesthetic Surgery, 5th Edition』Chapter 9.2 "Facial anatomy and aging"

"Conceptually the facial soft tissues are organized in five concentric layers: (1) skin; (2) subcutaneous tissue; (3) musculo-aponeurotic layer; (4) loose areola tissue; (5) deep fascia."

(顔面の軟部組織は概念上、5つの同心円状の層として構成される:①皮膚 ②皮下組織 ③筋腱膜層 ④疎性結合組織 ⑤深筋膜)
③の筋腱膜層がSMASです。同章には「層は顔全体で均一ではなく、各層はその部位の機能に応じて厚さが変わる」とも書かれています。

① 皮膚(表皮)
肌のいちばん外側。肌育注射はここには入れない(浅すぎると製剤が留まって丘疹の原因になる)
① 皮膚(真皮 乳頭層)
スキンバイブ(ボライトXC)の層。教科書に「皮下浅層にまんべんなく」と明記。
水光注射(ダーマシャインプロ)もこの層〜網状層の上部を狙う
① 皮膚(真皮 網状層)
ジュベルック・リジュラン・プルリアルデンシファイの主戦場
② 皮下脂肪
ボリュームを担う層。ジャルプロスーパーハイドロはメーカー公式資料で「皮下組織浅層 3〜4mm」=皮膚支帯(Retinacular cutis)を狙うとされ、肌育注射のなかで唯一この層に入れる(頬骨リガメントのみ骨膜に0.1〜0.2cc)。膨疹は1〜3日残る
③ SMAS(表在性筋膜)
表情筋を包み、その動きを皮膚に伝える膜。皮下脂肪は「皮膚支帯(retinacular cutis)」という線維でこのSMASに結びつけられている。
SMASが緩むことも、たるみの原因のひとつ。ただし肌育注射はここには届かない — 狙うのはHIFUなどの機器
④⑤ 靱帯・骨膜
支持靱帯(retaining ligament)と、いちばん深い骨膜・深筋膜。顔を骨に繋ぎ止めている土台

★ 図の「波々」と「網目」の正体 — 真皮は2つに分かれる

図をよく見ると、真皮の上のほうは細い線維が波打っていて細胞(紫の紡錘形)が多く、下のほうは太い線維が網目状に組まれていて細胞が少ないのが分かります。これは描き分けではなく、実際に構造が違います。

『Baumann's Cosmetic Dermatology, 3rd edition』Chapter 2 "Basic Science of the Dermis" p.21

"The lower portion of the dermis is the reticular dermis, which is characterized by low cell density surrounded by collagen and other connective tissue proteins. ... Elastin fibers run parallel to the DEJ in the reticular dermis and there is a higher ratio of elastin to fibrillin."

(真皮の下部が網状層で、コラーゲンやその他の結合組織タンパクに囲まれた低い細胞密度を特徴とする。…網状層では弾性線維が表皮真皮接合部と平行に走り、フィブリリンに対するエラスチンの比率が高い。)

真皮 乳頭層(上)真皮 網状層(下)
見た目細い線維が波打つ太い線維束が網目に組まれる
細胞の数多い少ない(教科書:low cell density)
線維芽細胞の性質増殖性(Proliferative)
FAP+, CD90−, CD39
脂肪形成(Adipogenesis)
FAP−, CD90+ / FAP+, CD90+
役割細胞が働く「現場」肌の「構造体」そのもの

『Baumann's Cosmetic Dermatology, 3rd edition』Ch2 p.20-21 TABLE 2-1 Fibroblast Types, Actions, and Markers

💡 だから、肌育注射は真皮を狙う

コラーゲンを作るのは線維芽細胞です。そして教科書によれば、乳頭層の線維芽細胞は「増殖性」という性質を持っています。
つまり「工場がいて、しかも増える層」がここ。表皮に入れても工場がいないので何も起きず、皮下に落ちると狙いが変わってしまう — これが「真皮を狙う」ことの意味です。
カウンセラーが患者さんに説明するときは、「肌の中のコラーゲンを作る細胞に、直接届かせる治療です」で十分です。

★ 深さの実測値 — 超音波で測った論文があります

顔の層の厚さについては、屍体を超音波で実際に計測した論文があります。当院の患者層に近い東アジア人(中国・北京協和医院)のデータです。

Li Z, Xia Z, Qiu Z, Ting W, Dong R, Wang X, Jin L, Zeng A, Liu Z, Wang X, Yu N, Long X.
"Studying Dynamics of Mid-face Lifting During Hyaluronic Acid Filler Injection Using Ultrasound Imaging."
Aesthetic Plastic Surgery. 2023;47:2661-2676. doi:10.1007/s00266-022-03221-x

方法:新鮮凍結屍体 10体(女性・平均72歳/範囲62〜83歳)。解剖とBモード超音波(E-cube 7, Alpinion, 韓国)で、注入前後の層を可視化して計測。
エビデンスレベル:Level IV(論文自身が明記)

測定した部位何から何まで実測値出典
中顔面
(頬でいちばん高く出ている点)
皮膚 → 骨膜約 12.1 mm
(1.21 cm)
p.2669
皮膚 → 深部脂肪層の上縁8.7 mm
(0.87 cm)
p.2669
皮膚 → 深部脂肪層の下縁13.0 mm
(1.30 cm)
p.2669
深部脂肪層そのものの厚さ4.6 mm
(0.46 cm)
p.2669
ほうれい線 最もくぼんだ点で 皮膚 → 骨膜10.8 mm
(1.08 cm)
p.2672
上部1/3で 皮膚 → 皮下脂肪層の底6.4 mm
(0.64 cm)
p.2672
下部1/3で 皮膚 → 皮下脂肪層の底6.6 mm
(0.66 cm)
p.2672

Li Z, et al. Aesth Plast Surg. 2023;47:2661-2676(屍体10体・超音波実測・Level IV)

💡 この数字が意味すること

頬でいちばん厚いところでも、皮膚の表面から骨まで約12mmしかありません。1cm ちょっとです。
そして皮膚の表面から8.7mmで、もう深部脂肪層に入ります。つまり「皮膚+浅い脂肪+SMAS」を全部合わせても1cm弱ということです。
肌育注射が狙う真皮は、この12mmのうちのごく浅い数mm。数ミリの違いで入る層が変わってしまう — だから「医師が深さを決める」ことが、これほど重要になります。
ほうれい線は骨まで10.8mmと中顔面より薄く、皮下脂肪の底までは6.4〜6.6mm部位によってこれだけ違います。

⚠️ この数値を使うときの注意 — 3点

患者さんに伝えるなら 「頬でも皮膚から骨まで1cm程度しかないので、数ミリの違いで入る層が変わります。だから医師が超音波の知見も踏まえて深さを決めています」 という使い方が適切です。

層ごとの厚さ(表皮・真皮など)は、教科書にも数値がありません

上の表は「皮膚の表面から◯◯まで」という距離の実測です。一方で「表皮は◯mm、真皮は◯mm」という層ごとの厚さは、当院の教科書ソースにも、この論文にも記載がありません。ネットや業者資料には数字が出回っていますが、裏が取れていません。

『Plastic Surgery Volume 2: Aesthetic Surgery, 5th Edition』Chapter 9.2 "Facial anatomy and aging"

"The dermis is thinnest in the eyelids and thickest over the forehead and the nasal tip."

(真皮は眼瞼で最も薄く、額と鼻尖で最も厚い。)— 教科書が真皮の厚さについて述べているのは、この定性的な記述だけです。

患者さんに聞かれたら 「部位によってかなり違います。目元は特に薄いので、そこは医師が慎重に深さを決めます」 が正確な答えです。

★ 教科書が示す「製剤ごとの注入層」— 目的で層が変わる

『Aesthetic Plastic Surgery of the East Asian Face』Chapter 31 "Management of Facial Filler Injection Complications" p.405

"...calcium hydroxyapatite and poly-L-lactic acid are excellent for their volumetric effect. An understanding of facial anatomy, especially skin thickness and vessels, is also crucial to reduce complications. ... Generally, human collagen should be placed in the middermis, and medium-length hyaluronic acid products should be placed in the deep dermis. Calcium hydroxyapatite is injected at the dermal subcutaneous border, while poly-L-lactic acid and fat are injected into the subcutis."

(…カルシウムハイドロキシアパタイトとポリ-L-乳酸はボリューム効果に優れる。…一般に、ヒトコラーゲンは真皮中層に、中間の長さのヒアルロン酸製剤は真皮深層に置くべきである。カルシウムハイドロキシアパタイトは真皮と皮下の境界に、ポリ-L-乳酸と脂肪は皮下に注入する。)

⚠️ 「PLLAは皮下」— これはボリューム目的で使うときの話です

上の引用は「フィラー注入の合併症を防ぐ」章の記述で、冒頭に "excellent for their volumetric effect"(ボリューム効果に優れる) とある通り、膨らませる目的で使う場合の層です。肌育(肌質改善)の話ではありません。

使い方出典
PLLA をボリューム目的で
(スカルプトラ等・原液に近い濃度)
皮下
subcutis
East Asian Face Ch31 p.405
PLLA を肌質改善目的で
(希釈・超希釈)
層の明記なしBaumann's Ch30 p.419 は「ボリューム効果を伴わずにコラーゲン新生を誘発する」とだけ述べ、深さには触れていない
PDLLA(ジュベルック)
肌育目的
真皮院内資料 28_肌育注射PDLLA・製品名ともに教科書に記載なし

PLLA と PDLLA は名前が似ていますが、別の型のポリ乳酸です。患者さんが他院の情報を持ってきたときに 「ポリ乳酸だからスカルプトラと同じ」と説明するのは誤りです。

❓ 「皮下に入れる肌育」はあるのか

教科書を調べた範囲では、「肌質改善を目的として皮下に入れる」という記述は見つかりませんでした。
皮下に入れるPLLA(スカルプトラ)はボリューム目的のフィラーであって、肌育とは目的が違います。
院内の肌育メニューで唯一、皮下に入れるのはジャルプロスーパーハイドロです。メーカー公式資料では「皮下組織浅層3〜4mm、皮膚支帯(Retinacular cutis)のECMリモデリング」とされ、肌質改善というよりリフト・タイトニング目的の使い方です。同シリーズのClassic・HMW・Young Eyeは真皮2mm(目周り・首0.6mm)が対象で、こちらは一般的な肌育と同じ層です。
つまり 「肌育注射=基本は真皮」で理解して問題ありません。ジャルプロだけが例外的にリフト方向を兼ねる、と覚えてください。

⚠️ 皮膚が薄い部位ほど、しこりが出やすい

『Aesthetic Plastic Surgery of the East Asian Face』Chapter 31 p.405

"Since the eyelids, periorbita, and nasal dorsum are known to have a very thin dermis, special care should be taken when injecting into these regions not to introduce lumpiness, nodules, or potential granulomas. For the novice, sometimes it is better to err on the side of filler placement that is too deep rather than too superficial..."

眼瞼・眼窩周囲・鼻背は真皮が非常に薄いことが知られているため、これらの部位への注入ではしこり・結節・肉芽腫を生じさせないよう特別な注意が必要である。慣れていない術者にとっては、浅すぎるよりも深めに置いたほうがよい場合もある…)

目元の相談(リジュランi など)では、この「薄さ」がリスクの正体です。「目の下は皮膚が薄いので、特に慎重に医師が判断します」と伝えて、その場で可否を答えないでください。

『患者からの質問に自信を持って答える美容皮膚Q&A』Q44「ヒアルロン酸注入とはどのような治療ですか?」p.221

「最近承認を取得したジュビダームビスタ®ボライトXCは,これまでのヒアルロン酸製剤とは治療目的が異なり,皮下浅層にまんべんなく製剤を注射し皮膚の水分量を増やすことによって,肌質を改善することを主たる目的とした製剤である。」

院内メニューの「スキンバイブ」がこのボライトXCです。肌育注射のなかで唯一、教科書に製品名で載っており、かつ厚生労働省の承認を取得しています。

★ なぜヒアルロン酸で「肌質」が変わるのか — 線維芽細胞の伸展

ヒアルロン酸は「水を含んで膨らむだけ」と思われがちですが、教科書はもっと踏み込んだ機序を書いています。スキンバイブのようなヒアルロン酸系の製剤が「肌質を変える」と言える根拠がここです。

『Baumann's Cosmetic Dermatology, 3rd edition』Chapter 8 "Immunology of Skin Aging" p.98

"Aged skin is characterized by altered fibroblast attachments to the extracellular matrix (ECM) resulting in decreased mechanical forces on the fibroblasts. ... Diminished mechanical forces render a collapsed shape to fibroblasts, which then produce less Type I collagen and more matrix metalloproteinases. When HA is injected into the dermis, fibroblast spreading is induced. This fibroblast elongation upregulates the TGF-β signaling pathway and its downstream targets CTGF/CCN2, stimulating Type I collagen synthesis."

(老化した皮膚では線維芽細胞とECMの接着が変化し、線維芽細胞にかかる機械的な力が減少する。…力が減ると線維芽細胞は虚脱した形になり、I型コラーゲンを作らなくなり、逆にコラーゲンを壊す酵素を多く出すようになる。ヒアルロン酸を真皮に注入すると線維芽細胞の伸展が誘導され、この細胞の伸長がTGF-βシグナル経路とその下流のCTGF/CCN2を活性化し、I型コラーゲンの合成を促す。

💡 ひとことで言うと「潰れた工場を、引き伸ばして起こす」

若い肌の線維芽細胞は伸びていて、よく働きます。年をとると縮んで(虚脱して)、コラーゲンを作らなくなる — 教科書はこれを fibroblast collapse(線維芽細胞の虚脱) と呼んでいます。
そこにヒアルロン酸を入れると、物理的に細胞が引き伸ばされ、「働け」というスイッチが入る
だから 「ヒアルロン酸で水分を足す」だけの説明は、実は半分です。もう半分は「肌自身にコラーゲンを作らせる」ことです。

文献内容
Turlier V, et al.
J Dermatol Sci. 2013;69:187-194
"Association between collagen production and mechanical stretching in dermal extracellular matrix: in vivo effect of cross-linked hyaluronic acid filler. A randomised, placebo-controlled study."
RCT 機械的伸展とコラーゲン産生の関連を直接扱った、ランダム化プラセボ対照試験
Wang F, et al.
Arch Dermatol. 2007;143(2):155-163
光老化したヒト皮膚に架橋ヒアルロン酸を注入し、生検で新生コラーゲン産生を実証した研究
Quan T, et al.
J Invest Dermatol. 2013;133(3):658-667
真皮の構造的支持を強化すると、線維芽細胞・血管内皮細胞・角化細胞が活性化することを生体内で示した
Fisher GJ, et al.
Arch Dermatol. 2008;144(5):666-672
"Looking older: fibroblast collapse and therapeutic implications" — 見た目の老化の本質を線維芽細胞の虚脱として捉えた

いずれも『Baumann's Cosmetic Dermatology, 3rd ed』Ch8 p.102(References 26, 27, 30, 31)および Ch25 Dermal Fillers p.377(References 14, 15)に引用

教科書(Ch25 Dermal Fillers p.377)は、この結果として 「ヒアルロン酸フィラー注入後、少なくとも3ヶ月にわたり皮膚生検でI型コラーゲンの上昇が観察されている」 と述べ、HAフィラーの効果を「保水」「直接的な充填」「新生コラーゲン合成」の3つによるものとしています。

⚠️ ただし、ここまでは言えない — 2つの線引き

🧬 成分は5つのグループに分かれる

製剤名を9個覚えるより、「その成分が体に何をさせるか」で捉えると整理できます。
肌のコラーゲンを増やす道は大きく①材料を入れる ②工場(線維芽細胞)に指示を出す ③土台そのものを補充するの3つで、製剤はどれを担うかで分かれます。

グループ 1PN(ポリヌクレオチド)= 指示を出す

サケ(サーモン)のDNA由来の成分。細胞に「修復しろ」というシグナルを送り、線維芽細胞を活性化させる。抗炎症作用と毛細血管の循環促進もあり、赤み・クマに強いのが特徴(院内資料)。
即時のボリュームアップではなく、肌の深層から自然な若返りを促すため後戻りが少ないとされる。

▸ リジュランヒーラー / リジュランi(アイ) / プルリアルデンシファイ

グループ 2PDLLA(ポリ乳酸)= 刺激を置いてくる

ポリ乳酸(PDLLA)の微粒子+非架橋ヒアルロン酸。粒子が真皮に留まり、ゆっくり分解される過程で線維芽細胞のコラーゲン産生が促される(院内資料)。
毛穴の引き締めと皮脂のコントロールに定評があり、毛穴の黒ずみ・ボコボコ・ざらつきにも向く。
教科書はPLLA(ポリ-L-乳酸)について「希釈してボリュームを出さずにコラーゲンを誘導する」使い方を記載しています(上記Baumann's Ch30)。ジュベルックのPDLLAはこれとは別の型で、教科書には製品名の記載がありません(→ 後述のエビデンス表)。

▸ ジュベルック

グループ 3ヒアルロン酸系 = 保水力そのものを上げる

コラーゲンを作らせるのではなく、肌の水分量を直接高める方向。フィラーと違い「膨らませない」設計。
スキンバイブ=架橋ヒアルロン酸(ボライトXC・12mg/mL)+リドカイン。教科書に記載あり・厚労省承認
プルリアルバイオスカルプチャー=高分子・中分子(架橋)+低分子(非架橋)の3種を独自比率で配合。立体感の回復に特化(院内資料)

▸ スキンバイブ / プルリアルバイオスカルプチャー

グループ 4アミノ酸・ペプチド = 材料を配る

コラーゲンの材料そのもの(アミノ酸)と、作れという指令(ペプチド)を同時に入れる。
ジャルプロスーパーハイドロは非架橋ヒアルロン酸80mg/2.5ml(低分子200kDa+高分子2000kDa)+7種のアミノ酸(グリシン・プロリン・リジン・ロイシン・アラニン・バリン・アルギニン)+3種のペプチドグリシンはコラーゲン三重らせんの3残基に1つを占める基盤アミノ酸で、高濃度配合されている。ペプチドは役割が異なります(メーカー公式資料):
アセチルデカペプチド3 → FGF(線維芽細胞増殖因子)様に働き、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の合成を促進
オリゴペプチド24 → EGF(表皮成長因子)様に働き、細胞の増殖を促進、肌の質感とトーンを改善
アセチルテトラペプチド5 → 保水性を高め、血管収縮で水分排出を促し注入後の浮腫を軽減。抗酸化によりコラーゲンの糖化を阻害

▸ ジャルプロスーパーハイドロ

『患者からの質問に自信を持って答える美容皮膚Q&A』Q17「シワに対してどのような治療がありますか?」p.207

「肌質変化によるちりめんジワ(小ジワ)や首のシワに対しては,ヒアルロン酸注入療法のみで改善することは難しいと言われてきた。しかし,最近では皮膚の保水力を上げ,弾力を増した結果,皮膚の免疫力を向上させる効果を持つヒアルロン酸の開発や非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸の合剤により,コラーゲンのみならずエラスチンの合成を促進するタイプの製剤も普及している。」

ジャルプロの作用機序が、教科書にそのまま書かれています。「コラーゲンだけでなくエラスチンも」という点が、他のグループと違うところです。
そして「ちりめんジワや首のシワは、ヒアルロン酸だけでは難しい」と教科書が明言していることも重要です。フィラーではなくこちらを使う理由がここにあります。

グループ 5その他 = 土台の補充/美白/皮脂

Re2O(エラビエ リトゥオ)hADM(ヒト由来無細胞同種真皮)。ヒトの皮膚組織から細胞成分を除き、真皮の構造(コラーゲン・エラスチン)そのものを保持した製剤。材料や指示ではなく土台(ECM)を直接補充するという発想(院内資料)
ピンクグロー=0.3%非架橋ヒアルロン酸+グルタチオン+ビタミン(A・C・E・B群)+アミノ酸・ミネラル。美白・トーンアップに特化(院内資料)
スキンボトックス=低濃度のボツリヌストキシンを皮膚の浅い層に少量ずつ。筋肉ではなく皮脂腺・毛穴に作用させる使い方(→ Q45

▸ Re2O / ピンクグロー / スキンボトックス

📊 悩み別 — どれが得意か(院内比較表)

院内資料『肌育製剤 比較表』の評価をそのまま整理したものです。◎=特に得意/○=対応できる

悩みリジュラン
ヒーラー
ジュベルックプルリアル
デンシファイ
プルリアル
バイオスカルプチャー
ハリ・ツヤ
毛穴
乾燥
赤み
クマ
首のシワ

レディアン院内資料 32_肌育製剤一覧

💡 この表から言えること

ハリ・ツヤはどれでも◎ — つまり「ハリが欲しい」だけでは製剤は決まりません。2つ目の悩みを聞き出して初めて絞れるということです。
赤み・クマが強いなら PN系(リジュラン) — 抗炎症と血流改善という機序があるので、ここは他と差がつきます。
首のシワ・手の甲なら プルリアルバイオスカルプチャー — 立体感の回復に特化した設計です。教科書も「首のシワはヒアルロン酸だけでは難しい」としています(Q17 p.207)。
毛穴・皮脂・ざらつきなら ジュベルック — 院内資料で毛穴と皮脂コントロールが名指しされています。

💉 3つの投与ルート — 同じ薬剤でも入り方が違う

① 手打ち注射

医師が針で直接注入

  • 状態に合わせて注入量と深さを調整できる
  • 気になる箇所を重点的に打てる
  • 製剤の選択肢が最も広い
  • 麻酔込みの価格

② ダーマシャインプロ(水光注射)

真皮浅層〜中層に機械で均一注入

  • 32G or 34G の9本針。吸引しながら注入するので手打ちより痛みが少ない
  • 機械制御なので深さと量が一定=ムラが少ない
  • 顔全体約10分
  • 非架橋ヒアルロン酸とMIXして使う

③ 機器で導入(ドラッグデリバリー)

ポテンツァ/トライフィルプロ/エリシスセンス

  • 機器の施術に薬剤をオプションで乗せる
  • 機器の効果(針RF等)と同時に狙える
  • 薬剤はジュベルック/リジュラン/エクソソーム/マックームから選択

⚠️ 針の太さを選べない製剤がある

ダーマシャインプロは基本32G、痛みが心配な方は34Gに変更(+2,200円税込)できます。ただし——

🔬 エビデンスの強さ — 正直に整理する

ここは患者さんに直接話す内容ではありませんが、カウンセラーが知っておくべきことです。「人気がある=エビデンスが強い」ではないという構図が、この領域にはあります。

製剤評価教科書・文献の裏付け
スキンバイブ
(ボライトXC)
A 『美容皮膚Q&A』Q44 p.221に製品名で記載厚生労働省の承認取得済み。前向き臨床試験あり(Ogilvie P, et al. 2019, VYC-12)。肌育メニューのなかで唯一、この3つが揃う
ジャルプロ
スーパーハイドロ
B 『美容皮膚Q&A』Q17 p.207に「非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸の合剤」として機序の記載あり。製品固有の査読論文はメーカー資料経由で1本(Shelemba E, et al. J Cosmet Dermatol 2024 — 28名・月1×4回・コラーゲン密度+20%・120日持続)。単群・メーカー提供・対照なし。日本未承認・適応外使用
ジュベルック
(PDLLA)
B PLLA(ポリ-L-乳酸)の希釈使用にはRCTあり(Kollipara R, et al. Dermatol Surg. 2020;46:1623-1627 — 膝上のたるみに対するランダム化・スプリットボディ・プラセボ対照試験)。
ただしジュベルックのPDLLAはPLLAとは別の型で、PDLLA・製品名ともに教科書には記載なし
リジュラン
(PN)
C 教科書にはPDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)の記載があるが、それは針を使わない空気圧デバイスで真皮・皮下に送り込む手技の文脈(『Aesthetic Plastic Surgery of the East Asian Face』Ch23 p.344)。
「PN」「リジュラン」という表記そのものは教科書に記載なし
Re2O(hADM)
ピンクグロー
記載なし 当院の教科書ソース内に記載を確認できませんでした。メーカー資料が唯一の情報源です

⚠️ この表の読み方 — 3つ注意

📌 院内資料と教科書で食い違う点(要注意)

院内資料はスキンバイブについて「最大約9ヶ月間持続」としています。
一方、教科書(『美容皮膚Q&A』Q44 p.211)のヒアルロン酸全般の記載は「架橋が強いものは長期(1〜2年)、架橋が弱いものは比較的短期(4〜6カ月)」で、ボライトXC個別の持続期間の数値は書かれていません

「9ヶ月」はメーカー情報であり、教科書の裏付けがある数字ではありません。患者さんに伝えるときは「9ヶ月もちます」と断定せず「目安として」を付けてください。

💰 料金(院内メニュー・すべて税込)

手打ち注射(麻酔込み)

製剤容量料金主な狙い
ジュベルック4cc60,500円毛穴・皮脂・ニキビ跡・ハリ
リジュランヒーラー4cc66,000円赤み・クマ・毛穴・肌質全般
リジュランi(アイ)1cc33,000円目元専用・小じわ・クマ
プルリアルデンシファイ4cc88,000円ハリ・小じわ・赤み・乾燥
プルリアルバイオスカルプチャー2cc55,000円首のシワ・手の甲・立体感
ジャルプロスーパーハイドロ2.5cc初回 46,750円/通常 55,000円たるみ・リフト感(40代〜)
スキンバイブ1cc55,000円乾燥・キメ・厚労省承認
ピンクグロー2.5cc
5cc
初回 27,280円/通常 33,000円
60,500円
美白・くすみ・肝斑
Re2O(エラビエ リトゥオ)1本(6cc)88,000円土台の再構築・毛穴・小じわ

レディアン院内資料 28_肌育注射(PDF実物より。抽出メモには誤りがあったため、価格は必ずこの表を参照)

ダーマシャインプロ(水光注射)

薬剤料金備考
ジュベルック44,000円32Gのみ
リジュランヒーラー44,000円34G変更可
プルリアルデンシファイ60,500円32Gのみ
スキンボトックス(韓国製・50単位)38,500円34G変更可
スキンボトックス(アラガン・50単位)55,000円34G変更可
麻酔クリーム 別途 3,300円 / 34Gへの変更 +2,200円

レディアン院内資料 23_ダーマシャインプロ

🚨 必ず伝えること — ここを飛ばすとクレームになる

① Re2O は「施術後、献血ができなくなる」

Re2Oはヒト組織由来成分(hADM)を含みます。そのため日本赤十字社の規定により、施術後は献血ができなくなります
院内資料には「この制限は恒久的なものである可能性が高い」と明記されています。将来的に献血を行う可能性がある方には、施術前に必ず伝える必要があります。
価格や効果の話より先に、この事実を共有してください。後から知らされると、取り返しがつきません。

② ジュベルックは「すぐには変わらない」

PDLLAは粒子が分解される過程でコラーゲンを作らせる薬剤です。つまり効果が出るまでに時間がかかるのが設計上の前提。
「1回打ったのに変わらない」という不満が出やすい典型なので、最初に時間軸を合意しておきます。
逆にスキンバイブやプルリアルバイオスカルプチャーはヒアルロン酸なので、直後から実感が出やすい「すぐ変わりたい」のか「時間をかけて質を変えたい」のかで、勧める方向が変わります。

④ ピンクグローは「ラジオ波」「ボトックス」との併用が非推奨

メーカー資料(Mesoheal Pink Glow / Rosevel)の "Procedures that are not recommended to be combined" に、アートメイク/ラジオ波リフティング/スキンクレンジング/ボツリヌストキシンA注入が挙げられています。
当院はオリジオ・オールタイト(RF)とボトックスが主力です。「ピンクグローと一緒に」という提案が出やすい組み合わせが、まさに非推奨です。
同資料の禁忌には、院内資料にないヘルペス感染の既往・悪性腫瘍・出血性疾患/抗凝固療法中・発熱/感染症も含まれます。
プロトコル:2週ごと4回 → 1ヶ月ごと2回 → 6ヶ月ごと1回(メンテ)

③ 内出血は「点」で出る。1週間見ておく

院内資料の注意事項:針を刺した箇所が点のように内出血になることがある。メイクでカバーは十分可能で、1週間程度で治る。
・洗顔は施術翌日から可能
1週間程度は注射部位を強く擦らない
メイクは施術当日は控える
大事な予定の直前は避けていただく案内を、予約を取る段階でしてください。

🩺 禁忌・要注意

該当したら医師へ — カウンセラーが可否を判断しない

レディアン院内資料 23_ダーマシャインプロ「注意事項・禁忌事項」

『患者からの質問に自信を持って答える美容皮膚Q&A』Q44 p.221(ヒアルロン酸注入の合併症)

「ヒアルロン酸注入の合併症として,内出血(紫斑),発赤,浮腫,感染,過敏症反応(急性・遅発性),異物肉芽腫,血行障害(圧迫によるものと,塞栓によるものがある),左右非対称,過剰修正などが挙…」

※ 肌育注射はフィラーより浅く少量を入れる治療ですが、「異物肉芽腫」「遅発性の過敏症反応」は注入治療に共通するリスクです。とくに粒子を含む製剤(PDLLA)では、数週間〜数ヶ月後に出るしこりの報告が文献にあります(Storer M, et al. Late-onset granuloma formation after poly-l-lactic acid injection. JAAD Case Rep. 2016;2(1):54-56)。
「施術から時間が経ってから出るトラブルもある」ことを知っておいてください。日が経ってからの連絡でも「関係ない」と判断せず、医師につなぎます。

📅 回数と間隔

⚠️ 院内で明記されているのは1つだけ

院内資料に回数が明記されているのはリジュランi(アイ)のみで、「効果は2週間〜1ヶ月後から徐々に現れ、3〜4回セットの施術が推奨」とあります。
他の製剤の院内標準プロトコルは現時点で資料に記載がありません。回数・間隔を聞かれたら医師に確認してください。

グループ一般的な目安なぜその間隔か
PN系
リジュラン/プルリアルデンシファイ
2〜4週 × 3〜4回修復シグナルを送る薬剤なので、短い間隔で繰り返し刺激する
PDLLA
ジュベルック
約4週 × 3回粒子が徐々に分解してコラーゲンを誘導。詰めすぎないほうがよい
アミノ酸・ペプチド系
ジャルプロ スーパーハイドロ
月1 × 2〜3回
メンテ3〜6ヶ月
メーカー公式プロトコル。効果はHAが数日以内、アミノ酸は1ヶ月後から6ヶ月かけて現れる。HIFUとのコンビ(月1×2回→HIFU→3ヶ月メンテ)も提示
ヒアルロン酸系
スキンバイブ
1回で数ヶ月院内資料は「最大約9ヶ月」。ただし教科書に個別の数値記載なし(上記参照)

※ 上表の目安は一般的なプロトコルであり、院内標準として確定したものでも、教科書に記載があるものでもありません(医師確認事項)。

🗣 説明のしかた

📌 順番を間違えない — 「悩み → 時間軸 → 製剤」

製剤名から入ると、必ず「どれがいちばん効きますか?」になって答えられなくなります。この順で聞くと自然に絞れます。
① いちばん気になるのはどこか(毛穴/赤み/クマ/乾燥/首)
② すぐ変わりたいか、時間をかけてよいか(ヒアルロン酸系 か コラーゲン誘導系 か)
③ 通える頻度と予算(3〜4回セット前提か、1回で長く持たせたいか)
ここまで整理して医師に渡せば、診察の時間が提案に使えます。

🚫 NG表現と、言い換え

言ってはいけないなぜ/どう言うか
「〇〇さんにはジュベルックが合いますよ」適応の判断=医師の業務。→「毛穴が気になる方にはジュベルックを使うことが多いです。医師が拝見して決めますね」
「これで毛穴が消えます」消えません。→「目立ちにくくなる」。肌育注射は質を変える治療で、穴が無くなる治療ではない
「1回で変わりますよ」製剤による。PDLLA・PN系は複数回が前提。→「〇回を目安に重ねていく治療です」
「9ヶ月もちます」メーカー情報で、教科書の裏付けはない。→「目安として数ヶ月です」
「痛くないので細い針にしましょう」ジュベルック・プルリアルデンシファイは32Gのみ。当日覆る
(Re2Oの説明で献血に触れない)説明義務のある事項。触れないこと自体がリスク

❓ 確認事項(医師・クリニックへ)

この章を完成させるために確認が必要な点

📚 出典